マティス展

マティス展

2023年7月4日(火)
友人たちとマティス展に行ってきました。

書き直された痕跡が何層にも積み重なっているこちらの絵は【座るバラ色の裸婦】と名付けられた1枚です。
顔や体のあちこちに、この絵が完成するまでの変遷が見えるのがとても不思議に感じました。

構図を決めるまでに下絵を何回も描いてみることはわかるのですが、ベストな構図が見つかったらそれだけをキッチリ仕上げるのが絵画の世界では当たり前のことだろうと思っていました。また、完成したら下描きは表には見えなくなることが当然のことだろうと思ってもいました。

1枚の静止画だけど、その切り取られた一瞬だけでなく、この絵がこの形に辿り着くまでに過ごした時間も感じることが出来るのがとても不思議で。
シャッタースピードを遅くして撮影した星空の写真のような、そんな表現の仕方をキャンバスの中で試してみちゃう好奇心と行動力をもった愉快な人だったのかなと、マティスさんのことを勝手に妄想しながら眺めさせてもらいました。

普段私がしている請負仕事は、この下絵に該当するものを依頼者さんに何度も見せながら進めていくので、ちょっと親近感というかなんというか…。
私のやっていることは【自分の中には答えのないこと】なので、この下絵を見せることにあまり躊躇は無くなっては来たのですが(昔は躊躇しまくっていたし、未だにホントにひどい下絵ももちろんあって、それは闇に葬り去ること数知れずですが笑)、画家さんは【自分なりの答えを決めて、表に見せていくこと】が必要になるんだろうと思うので、その答えとして下絵も残すことを選んだのは、どういう気持ちからだったのかなぁーと。

体が不自由になった晩年の切り絵作品も想像力が掻き立てられて、とても楽しい展示でした。見る側にも考えたり、妄想できたりの余白のあるものが、マティス作品には多いようにも感じます。

マティスさんのように、今の自分が出来ることをいろいろ試しながら進んでいけたらなぁと思った一日でした。

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