愛する生き物から学んだこと

愛する生き物から学んだこと

こんにちは、空間デザイナーのナカザワフミです。

今回はとても長文&悲しい出来事に対する弔いのために書いています。
気持ちが元気で無いと感情の振れ幅が大きく体力奪われることもある思うので、読み進める場合はお気をつけください。

書き残しておきたいと思ったきっかけとなった出来事

心躍る楽しいこと、ハラハラ心配になること、たくさんの手助けをしてもらえたこと、出来る限りのことはしようと腹を括ること、どうすることも出来ずただただ悲しみに暮れること…短い期間にたくさんの感情が波のように訪れては消えていくことを、この7ヶ月ほどで経験させてもらいました。

そんな経験が出来たのは我が家でペットを飼うことを決めたことが始まりでした。
結末から先にお伝えすると、今年の2月26日にお迎えし、9月23日に空へと旅立ってしまいました。自分の気持ちの整理のためと、べらぼうに愛してたあの子が生きていた記憶を残しておくため、忘れないうちに書き留めておきたいと思います。

3人目の家族、降臨

我が家にお迎えしたのはヒョウモントカゲモドキやレオパードゲッコーと呼ばれる種類の爬虫類。トカゲと入ってはいますがヤモリの一種、なのでトカゲモドキ。名前は主人と案を出し合い、甲子園のトーナメント表レベルの対戦を経て、その案の中には一切含まれていなかった『ちゃぼ』という名前で決定しました。ご主人の鶴の一声での決定ですが、響きがお互いにしっくり来たので、我らながらグッドなチョイスをしたなと今でもそう思っています。

そんなちゃぼは、オレンジ色が美しいマンダリン系のモルフ(爬虫類の品種のことをそう呼ぶことも今回初めて知ったことの1つ)のオス。オレンジと山吹色のしましま模様に、背中にスーッと引かれた一本ラインが特徴で、ヒョウモントカゲモドキの名前の由来でもあるドット柄は少なめな子でした。

私も主人も、元々ヘビやカエルやカメにトカゲなどは好きで、爬虫類カフェで触らせてもらったり、動物園の爬虫類コーナーで長々と見つめたり、庭でカナヘビやニホントカゲを見かけては観察したりはしていて、いつか一緒に過ごせたら良いなぁという気持ちはあるにはあったのですが…その『いつか』って結構突然やってくるものですね。ご近所の散歩中に偶然、爬虫類や両生類を扱うお店を見つけたことがきっかけで、あれよあれよとお迎えすることになりました。

とは言え、私は生き物を飼うのはこれがほぼ初めてでして(ほとんど放置で20年近く生きたドジョウは実家にいたけれど)。主人は実家で猫を飼っていた経験はあったようですが、お互いに爬虫類は未知の領域。連れ帰る前に調べてわかることは知っておこうと、ヒョウモントカゲモドキの生態や病気に関する本を購入して読んだり、ネット上でも出来る限りの情報を探してはメモを取っておいたり、必要な飼育環境も準備万端で用意し、いざ、ご近所の爬虫類店へ。

『色はオレンジ系が良いけれど、ピンッと来る子がいなかったらまた今度にしよう』と誓い合いながら訪れ、何匹か気になった子を触らせてもらうことに。どの子も生後3〜6ヶ月程のまだ小柄な子で、触らせてもらっちゃうと全員それぞれにかわいいんですよ、困ったことに。

その中でも特に動きが機敏で、他の子にまで噛み付こうとしていたヤンチャな子が我が家にお迎えしたちゃぼでした。オスなので筋肉質な触り心地で、手に乗せても全く落ち着かない、すぐ逃げ出そうとするような野性味の強い個体でしたが、何だかとても気になる…うっかり指を噛み付かれたけど(噛み付かれたとは言え、洗濯バサミで挟んだぐらいの感覚です)気になる…。主人はもうちょい赤みの強いメスの子が気になったようでしたが、緊急家族会議の結果、ヤンチャなちゃぼをお迎えすることに。ピンッと来るの、案外早かったですね。

そんなわけで2022年2月26日に我が家の一員となったヒョウモントカゲモドキのちゃぼ。食欲もとても旺盛で、小さい体なのに1日にコオロギ5〜8匹も食べる食べる。ご飯を見つけた時に目を輝かせながら狙っている表情がとてもイキイキとしていてかわいい。あんまり見られ続けるのはストレスになるとは聞いていたので、見てないテイで横目でニマニマ見つめる技を私は覚えました。

ヒョウモントカゲモドキは、元々アフガニスタンやインド、イラン、パキスタンなどの砂漠の乾燥した地域に生息している生き物です。日本国内で流通している個体は国内で繁殖されたものがほとんどのようですが、飼育環境は生まれ故郷の気候に近くなるように設備を整えて過ごしてもらいます。夜行性なので昼間は寝ていることがほとんどですし、基本的に触られて喜ぶ生き物では無いので、人に慣れるかどうかはその子次第。大概は『餌を運んでくれる巨人(たぶん悪いやつでは無い)』としか認識されていないように感じました。

無理やり掴んだりなどしなければ鳴くこともほぼありません。表情もコロコロ変わるような生き物では無いけれど、瞼があるので眠そうにトロンとしてたり、力いっぱい見開いて興味津々な様子だったりと、わずかな感情の差は観察しているとわかるような気も…飼い主目線の気持ちも200%ぐらい含まれてはいるので実際のところはよくわかりませんが、日に日に愛おしさは増していきます。

こんなに早くお世話になるなんて

そんな感じで一緒に過ごし始めてから2週間ほどが経ったある日に我が家に来て初めての脱皮。たまたま途中から見守ることが出来て観察していたのですが、想像よりもだいぶアグレッシブで。キレイに脱げずに皮が残ってしまうとそこから壊死してしまうこともあると聞いていた飼い主は、初めて脱皮の瞬間を見られた喜びよりも、残さず脱ぐことが出来るのかの不安の方が大きく、気が気では無かったです。幸いにもちゃぼは脱皮の上手な子だとこの時知ることが出来ましたが、それでもやっぱり毎回脱皮の度にソワソワしていました。

その脱皮の直後からちゃぼに少し異変が。あんなにもりもりと食べていた食欲がピタリと無くなり、コオロギにも人工フードにも何もかも、見向きもしなくなってしまいました。お迎えさせてもらった爬虫類店の店長さんから食欲のスイッチになるようなヒントを聞き、温度や湿度の管理と共に試してみましたが無反応。成長した個体であれば、ぷくぷくの尻尾に栄養を貯めているので、1ヶ月ぐらいは食べなくても全く問題は無いとのことですが、まだ体も小さく尻尾も細めなちゃぼを見ていると心配で…。食欲が無くなってから約2週間程が過ぎた頃に少し血の混じった排泄物を発見してしまったので、店長さんに教えてもらった県内の動物病院へ行ってみることにしました。

お店をする前から爬虫類を飼っている経験豊富な店長さん曰く、近隣で本当の意味で爬虫類を診察できるのはこの病院だけとのこと(開業前に近くの病院全てに電話で確認したようです)。診療科目にエキゾチックアニマル(爬虫類の他に、両生類、鳥類、ウサギやハムスターなどの小動物などのことを総称して最近はこう呼ぶらしい)と明記されている病院でも、「診ることは出来るけれど一般的な診断しか出来ませんよ(専門外なので保証は出来ません)」と、返答されてしまうことばかりだったと。『だったら書くなー!』と心の中で叫びたくもなりますが、それだけまだまだわからないことも多い生き物だということは承知の上でお迎えすることを決めましたが、思ったよりも早い段階で病院のお世話になるなんてねぇ。

ということで、人生初の動物病院へ。空気穴を開けたタッパーの中へちゃぼさんに入ってもらい、我が家で唯一の保冷バッグである肉まんの551の手提げ袋に入れて出かけました。行けない距離では無いけれど絶妙に長い1時間半の電車移動。変温動物であるヒョウモントカゲモドキは周囲の寒暖差に弱いので、なるべく車内のエアコンの風が直接当たらないような場所に立ちつつ、出来る限りストレスにならないように、入れ物を揺らさないように注意しながら病院へ向かいました。途中揺れてしまい1回だけ大暴れさせてしまったけど。ごめんね。

そんなわけで動物病院へ到着。待合室には様々な生き物たちが待っていてどの子もかわいい。わんこ、にゃんこ、カメに文鳥などなどなど…多種多様な生き物に出会えてラッキーだなと、自分のための病院通いは大嫌いだけど、ここは天国だわと心の中で思うなどもしました。

程なくしてちゃぼの順番になり診察室へ。先生はお若い女性の方で、丁寧に順を追って説明してくれました。話しているうちにテンションが上がってくると頭の回転の速さ×しゃべりの速さの相乗効果で話を聞き取るのが少し大変な時もあったけれど、飼い主の意向も汲み取りながら最善の方法を提案してくれるので、私はとても安心して通うことが出来ました。

ひとまずこの時はレントゲンと糞便検査をしてもらい、床材に使っていたソイルの誤飲で、お腹に溜まったソイルが苦しくて拒食になってしまったのでは無いかとの診断。お腹の中のソイルを体外へ出すための油のようなお薬をもらって家に帰り、誤飲の可能性が少ないとされているキッチンペーパーの床材に交換して様子を見ることになりました。

床材をソイルにしていた理由は、多孔質な材質のため糞の匂いが軽減されること、ストレス解消に掘れること、爬虫類店で同じものを使用してたからでした。誤飲の心配があることは知っていたので、ご飯をあげる時は別の容器に移動してもらってたのですが、何かのきっかけで飲み込んでしまうこともあるのかと…ごめんよ…。

初めて『お母さん』と呼ばれるなど

こちらの病院では、飼い主のことを『〇〇ちゃんのお父さん、お母さん』と呼んでいるようで、私は『ちゃぼちゃんのお母さん』と命名してもらえました。子がいない暮らしを続けて来たので、初めての『お母さん』という呼ばれ方の響きの気恥ずかしさたるや…。『お…おぅ…』と、どうしたら良いか動揺しつつ、心の中でニヤニヤもしてしまいましたが、お母さんならちゃぼの異変にもしっかり気付いてあげられるようにしていかなきゃなと、身が引き締まる思いもしました。

体調を読み取ることの難しさ

さて、この日からスタートしたお薬生活。小さき生き物ってお薬を飲ませるのも一仕事ですね。警戒心が強く、動きが機敏なちゃぼはなかなか飲みません。ストレスの少ない飲ませ方は鼻先にチョンッと少量ずつ置いて本人にペロペロと舐めてもらうことだとは伺いましたが、まー飲まない飲まない。首をブルブル振ったり、鼻をケージに擦り付けたり、どうにかして薬を排除する技術をどんどん磨いていくちゃぼ。数日様子を見ましたが、飲まないことには拒食も改善しないのかなと思い、なるべくそっと掴んで口を開いてもらうことに。静かにギャーギャー鳴くちゃぼ、やっぱり掴まれるのは嫌だよね。薬を飲んでもらうのを優先するのか、ちゃぼがストレス少なく過ごせることを優先するのか、毎日悩みました。

初病院から約2週間後に再び通院。相変わらず拒食続行中で、お腹の中のソイルも出た形跡が無いため、お薬は継続となりました。ご飯はバランス良くあげるのがベストだけど、食べない時は何でも良いから食べるもの優先であげてくださいとのお話だったので、いつものコオロギから美味しいと評判のハニーワームに変更。あんまり構い過ぎるのもストレスになると思い、夜寝る前にご飯皿にハニーワームを入れて一晩様子をみることに。そうしたら、この変更が効果テキメンで!翌朝には全部キレイに平らげてくれました!やったー!

けれども、この喜びが裏目に出て、計10匹のハニーワームをあげてしまったことに後ほど大後悔することに。

翌日ケージの中を覗いたら、ハニーワームの形状を残したまま吐いた形跡が…。糞の回数もこの日だけで4回と異常に多い。慌てて次の日に病院へ行き診てもらうと、人間で言うと病み上がりにカツ丼を食べるのと同じことなので、ご飯の量はコントロールしてくださいねと軽く叱られました。本当にすみませんでした。

まずは随分と減ってしまった体重を確実に増やすことを目標に、少しずつご飯の量を増やしていくことに。ハニーワーム効果で食べる喜びを思い出したのか、少しずつ食欲が戻っていきました。シェルターの中でしかご飯を食べなくなったり、水飲み場の中で糞を出すようになってしまったりもしたけれど、体重もちょっとずつちょっとずつ増え、起きて活動している時間も増えたように感じ、飼い主はとても嬉しい。

…と、喜んだのも束の間で、食欲が戻り始めてから約2週間後にまた食べなくなってしまいました。

かれこれ4回目の通院。なかなか拒食が改善せず、いろいろな原因が考えられるとのことで、状況を整理するために1回お薬を止めてみることに。この通院から5日後にようやくまともにご飯を食べてくれるようになり、4回目の通院から20日後の5回目の通院で、病院通いは一旦終了となりました。今のところはヒョウモントカゲモドキの病気の原因として有名なクリプト菌(現在では確実な治療法の見つかっていない菌です)も見当たらないとのことで、ご飯を食べてても体重が減る場合はまたすぐ来てくださいとのアドバイスを受けて無事に帰宅。お薬を飲むのが相当ストレスだったのか…季節の変わり目の食欲減退なだけだったのか…今回の拒食のハッキリとした原因はわかりませんでしたが、ひとまずは安心して過ごせるようになりました。

ここまででお迎えしてから約2ヶ月。
ヤンチャなのはわかっていたけれど、すんなりとは落ち着かないもんですね。

一難去るとまた一難来るって本当だったわ

病院卒業宣言から約1ヶ月間。活き餌が大好物で人工フードに一切興味を示さないことが多少の悩みではあったものの、順調に体重も増えていき、一時期21gしかなかったのが31.5gまで増加。尻尾もほんの少しぷっくりとして、何度かあった脱皮も上手に1人で脱ぎ終わることが出来ていました。

飼育ケージを設置していた3階の部屋が暑くなって来たので、我が家で一番涼しい1階の部屋にお引っ越しし、このままスクスク大きくなってねーと遠目で眺めながら過ごしていた7月1日、久しぶりにキッチンペーパーに血の痕跡ががが。

この日はちゃぼの体に異変は見当たらず。
次の日に気になって様子を見に行ったところ、排泄孔から内臓らしきものが出っ放しになっていました。

そんな状態でも飄々と動き回っているちゃぼを目の当たりにしながら飼い主は心ここに在らず。悪くならないようにするにはどうしたら良いのかをググりまくった結果、『とにかくケージ内の湿度を高めに保ち、患部が乾かないように!』との情報を手に入れたので、ビショビショに濡らした古いTシャツをケージの中に敷き、出てしまっている内臓が乾かないようにしながら、翌日病院へ行くことに。

6回目の病院。出ていたのは腸。だいぶ腫れていたので腫れを引かせてから中に戻してもらいました。排泄ができるように間隔をあけて2針。こんなに小さな生き物の体を的確に縫える先生の技術素晴らしいなと、玉結びも満足にできない飼い主はしげしげと縫われた部分を観察させてもらいました。

環境が変わると体調が悪くなる生き物だと聞いていたので、飼育ケージの場所を引っ越したことが原因ですか?と尋ねたところ、『そのぐらいの変化で起こる症状では無いし、そんなにヤワな子では無さそう』と、先生もちゃぼの性格をよくわかってくれて来たことを知れた瞬間でした。

縫合してもらってから数日後に抜糸。7回目の病院。腸は出ていない。ひとまずは良かった。ヒョウモントカゲモドキが脱腸してしまうことはケースとしてはもちろんあるけれど、そこまでよくあることでも無いとのこと。もし今後再発してしまった場合は、全身検査が必要かも?との話でしたが、薬を飲むのも上手になったし、ご飯も通常通り食べているので、ひとまずは今回の通院は終了。ちゃぼのご飯用の活きの良すぎるコオロギが1匹、家の中で脱走したりなどの些細な出来事はありましたが、ここから半月ほどは平和に過ごしておりました。

癖になってしまった腸

8月に入って数日後、また再び腸が出た形跡が。1回目はご本人で収納できたようですが、その翌日も出てしまい、また慌ててビショビショTシャツをケージの中に敷きつつ病院へも連絡。ただこの時は一晩明けたらまた体の中に戻せていたので、再び病院にも相談した上で、家でこのまま様子を見ることにしました。とても慌てた。

前より少し食欲が落ち着いたのか1日置きのご飯タイムにはなっていましたが、毎回美味しそうにコオロギを食べ、脱皮も上手にしてる…大丈夫そうだ…と、思った矢先に再び腸。前回から2週間後ぐらいにまた腸が超出てる。時間的に病院はもう終わってる時だっため、爬虫類店の店長さんに急遽連絡し様子を見てもらうことに。慣れた手付きでちゃぼを温浴させながら、綿棒でゆっくりと腸を体の中に戻してもらいました。最初は少し暴れていたちゃぼも観念した表情。ストレスを感じさせない抑え方をもうちょい練習しなきゃなと思いながら一連の作業を見させてもらいました。本当にどうもありがとうございました店長。

性格的に運動を必要とする個体かもしれないことや、たまに温浴して体温を上げてあげるのも良いのかも?とアドバイスをもらい、家で少し実践してみることに。限られた飼育ケージの中だけで無く、部屋の中を散歩させてあげると、なんだか興味津々にいろいろなところを動き回る姿を見ることもでき、飼い主たちは大興奮で撮影しまくります。iPhoneのカメラロールがちゃぼでいっぱいふふふ。

店長さんのお手を借りた2日後、またしても腸。店長さんから学んだ技術を主人に伝え、この時は体の中へ戻すことに成功。この日から2日1回の間隔で温浴もしてみましたが、やっぱり腸が出た痕跡がありました。まだちゃぼ自身で中へ戻せていたので様子を見ていましたが、8月後半に大々的に出てしまう状態になり、8回目の病院へ。

今回は巾着袋のようにぐるんと丸く囲んでキュッと1針縫ってもらい、またお薬生活もスタート。あまり踏ん張らないようにご飯も少なめにして様子を見ることになりました。数日後には抜糸もしましたが、この時は少しお尻が赤いかな?ぐらいの状態。度重なる脱腸癖で排泄孔の両端が切れて広くなっているのは気になるところ。

9月。抜糸から1週間後にまた腸。10回目の病院。このまま原因がわからないまま出る→縫うの繰り返しをするのもちゃぼにとって負担になるのでは?と思い、先生と相談。『東大病院でCTスキャン(人間用)してもらうことも可能』などの驚きの事実を知ることができ興味もあるにはあったけれど、いろいろと話し合いをした上で、お腹を開けて症状を診断し、処置ができるものであればその場で処置、難しい場合は検体を取って病理検査し、その後の作戦を考えましょうということになりました。

そして入院と手術と

9月7日初めての入院、9月8日初めての手術…心配ではあるけれど元気になることを願って先生にちゃぼを預け、その日は帰宅。預ける前にちゃんと面会もさせてもらえました。初めての面会。何をして良いのか正直よくわからなかったけれど、とにかくちゃぼに話しかける飼い主。当の本人は入れ物から出たそうにガサガサ立っていました。

久しぶりのちゃぼがいない我が家。だけど、主人と話す内容はちゃぼのことばかり。そんな心にちょっとした隙間が出来たような2日間を過ごし、退院のためのお迎えに。

9月9日退院の日。お腹にブラック・ジャック先生のような縫い跡をこさえたちゃぼがそこに。動き方もいつも通りでとても元気そう。良かった。

先生と手術前に話をした時に想定していたのは『腸管の中あるいはその外側にしこりのようなものが出来ているのではないか』ということ。そのしこりがあって腸の通り道が狭くなり、そこに排泄物が引っ掛かって上手く排泄出来ない→苦しくて踏ん張る→腸が出る…ではないかと話していましたが、実際に体内を確認してみたところ『腸管自体の皮膚の壁の中で炎症が起こっていて大きく腫れていた』とのことでした。先生も見たことの無い症状だったこと、全て取るとちゃぼの命に関わりそうなぐらい大きく腫れていたことなどから、その部分を一部採取するにとどめて、病理検査の結果を待つことになりました。

2日ぶりのちゃぼのいる我が家。ちゃぼ本人は食欲もあり、いない間に育てていたら大きくなってしまったご飯用コオロギもペロリと完食。たくさん食べてもらいたい気持ちをグッと堪え、1匹だけ召し上がっていただきました。その翌日も普段通り元気そうに過ごしており、コオロギもまた1匹完食。けれどもその翌日、その食べたコオロギが消化されていない状態で床材の上に転がっていました。

この日からまたご飯を食べなくなり、どことなくグッタリ疲れている様子のちゃぼ。手術後ということもあるけれど、季節の変わり目のせいもあるのか、いつもなら飼育ケージの近くまで覗きに行くと目を開けて反応していたのも無くなり、シェルターの中で寝ている時間が長くなったように感じました。

手術から1週間後の9月16日に術後の様子見と病理検査の結果を聞きに病院へ。まずはお尻の抜糸は無事完了。腸も出ていない。病理検査の結果については『半分は出ました』という不思議な返答。検査結果の書類を先生と一緒に読みつつ説明を聞いたところ、『何らかの炎症であることは確かだけれど、そうなった原因がまだわからず、現在も引き続き調査中』とのこと。爬虫類によくある菌などが原因の場合はこんなに検査に時間はかからないとのことで、原因がわかり次第連絡をもらえることに。ちゃぼの性格を考慮して、手術で縫った部分の糸はいずれ自然に溶けるものにしてくれたようで、傷口の縫い跡はそのままちゃぼのチャームポイントになりました。

お別れの時

病院から帰宅してからも何となく疲れている様子のちゃぼ。その2日後に体の白さが増し、近々脱皮する予感。普段なら白くなったなーと感じた翌日にはキレイなオレンジ色に剥け終わっていたのですが、今回は白いままでいる日数が長かった。5日後にようやく一部が剥がれ始めましたが、ちゃぼはいつものように自分で脱ごうとはせず、ボーッとしていました。

飼い主が脱皮の介添えをしてしまうと自分では脱がなくなってしまうので1日様子を見ていましたが、翌日も状況は変わらず。初めて脱皮のお手伝いをすることに。

ちゃぼにぬるま湯に浸かってもらい、皮膚をふやかし、おててや瞼などの皮の残りやすい部分に注意しながら脱がせていきました。その間もされるがままのちゃぼ。ひと通り脱がせ終わり、飼い主の太ももの上に置いたら、そのままぺちゃんとうつ伏せの状態で大人しく座っていました。そこ、あったかいのかい?この時はこれが最後の触れ合いになるとは思ってもいませんでした。

翌日の2022年9月23日。朝はやっぱりシェルターの中でご就寝中のちゃぼ。いつも通り『おはよう』と声をかけると薄らと目を開けてまた眠っていました。この日は用事があり飼い主ズは外出。夕方に帰宅。ちゃぼの様子を見に行きつつ『ただいま』と声をかけますが反応薄。家の中の用事を済ませ、ちゃぼのご飯の時間になった時に声をかけにいきましたが反応無し。ケージの中に手を入れて触ってみると、シェルター の中で丸まりながら、眠るような姿でちゃぼは硬くなっていました。

どうするのが良かったのだろう

それから数日間とても泣きました。今でも度々ちゃぼの姿がふと思い浮かんでは泣きます。手術するのは今じゃなかったのかも…腸が出る度に縫っていく方を選んだ方が良かったのかも…そもそも病院へ連れていくこと自体が負担になっていたのかも…などなど、答えの見つからない悩みからはそう簡単には抜け出せません。1歳2ヶ月のヤモリ生、ちゃぼにとっては辛いものだったかもしれない…我が家に来ない方がまだどこかで幸せに暮らしてたかもしれない…とも思います。

ちゃぼに異変がある度に本などでも調べてはみましたが、温度・湿度の管理にご飯をあげる時の注意点など、書いてあることは大体一緒で。まだわからないことだらけの生き物だということもわかったけれど、もっとやってあげられることもあったんじゃないかとも思います。未だにまだ腸が出やすくなってしまった原因はわからないけれど、調べても出て来ない症状が出てしまった時の判断の難しさを知りました。

助けてくれる人が周りにいてくれるありがたさ

今回のちゃぼのことがきっかけで、困った時に助けてくれる人が周囲にいてくれることのありがたさを身をもって体験しました。

動物病院の先生は急な連絡が多い中でも快く対応してもらい、飼い主がどうしたいかとちゃぼの性格や症状を考慮しながら、その状況においての最適な診断と処置をしてくれました。ちゃぼの最後を電話で伝えた後、突然で驚きましたがお花まで贈ってくださいました。届いたのはちゃぼと同じ色のオレンジと山吹色のお花のアレンジ。お花を贈ってくれたことももちろんですが、その気持ちが嬉しくて、こうやって治療以外のことにも寄り添ってもらえていたありがたさを実感しました。

また、爬虫類店の店長さんは一番身近にいる爬虫類飼育の先輩で。今まで飼育していた時に得た経験を惜しげもなくいろいろと教えてくれる、とても心強い存在でした。生き物のことを愛しているのが伝わってくるので、ちゃぼのご飯を買いに行きながらお話しさせてもらうこともとても楽しみな時間でした。何度目かの腸が出てしまった時の命の恩人でもあるので、ちゃぼの最後を伝えに行ったところ、『小さな生き物だと病院に連れて行くまで体力がもたなかったり、そもそも病院で診てもらわない選択をする飼い主さんも多いんです。ちゃんと病院へ連れていって出来る限りのことをされていたことで先生の知見も増えるので、今回は悲しい結果になってしまったけれど、これからの動物医療の発展にも貢献できたんじゃないかと思いますよー』と声を掛けてもらえて、少し気持ちも救われました。

我が家の相棒・ご主人も一緒に頑張ってもらえて助かりました。自由に動ける時間の多い私が病院への通院やご飯の買い出しなどを基本的にはしていましたが、どうしても都合がつかなかった時に相談したところ、仕事の時間の調整をしてくれたりなどもしてくれました。お薬を飲ませたり、コオロギを捕まえるのも私よりもお上手だし、たまーに飼育方針の考え方の違いで家族会議が繰り広げらたことも良い思い出。役割分担しながら一緒にちゃぼのことを見守れて嬉しかったです。

爬虫類苦手だという方々へ

いわゆる『一般的』の枠からは外れたペット種でもあるし、『爬虫類が苦手だ』という人も世の中には多いこともずっと肌で感じてはいました。ちゃぼの1秒1秒が可愛すぎて(親バカ)SNSに写真を載せたりもしていましたが、苦手だけど好意的に見てくれた人も中にはいてくれまして。それも今回の新たな発見&嬉しかったことの1つです。

私自身もチョコレートや注射などなど、苦手なものはしこたまあるので、『世の中の全ての人に爬虫類好きになって欲しい!』なんておこがましいことは、言うつもりも無ければ言えるような口も持っていませんが、苦手意識を少し和らげてくれて、程良い距離感で見守ってくれたことが、何よりもありがたかったです。

お空にいるちゃぼを妄想する日々

10月4日、自宅の庭にある大きなジューンベリーの木のふもとでちゃぼに眠ってもらうことに。小さき生き物の火葬方法なども調べたらあるにあったのですが、我が家の一画から見守ってもらうのがヤモリっぽいかなと思い、そうすることにしました。家の中からでも見える位置で眠ってもらっているので、朝と夜は話しかけることも可。ちゃぼにとってはうるさいかもしれないけれど。

お空へ旅立ったちゃぼは今はどうしているのかと日々考えます。大好きなコオロギがたくさんいる場所で思う存分モリモリと食べているんだろうか? 1歳2ヶ月はまだ子供だし、賽の河原で石を積んでは崩されて、せっかく積んだのに崩されたことにキレて鬼に噛み付いていたりもしそうだな? 鬼灯の冷徹という漫画で知った不喜処地獄(動物虐待をしていた罪人が落ちる地獄)に引き抜かれて、そこに来た罪人たちに噛み付きまくってそうだな?などなど、お空でもちゃぼらしく過ごしていてくれたらなと思います。

そのうち私達もそちらへ行ったらまた一緒に遊んでもらえたら嬉しいな。それまで覚えていてくれるだろうか?覚えていて…ほ…し…い…(切実)

我が家の今後

ちゃぼと過ごした日々はあっという間だったけれど、とても楽しく彩り溢れる日々でした。心配もたくさんしたし、悲しい思いもたくさんしたけれど、とても愛おしい存在でした。今回の症状が出てしまった原因を知るための検査結果がまだ出ていないので気持ちは晴れきらないですが、いつかまたちゃぼの後輩が来ることがあれば、その時もその子のために最善を尽くしたい、そう思っています。

そんなことしたら、ちゃぼはやきもち焼いちゃうかしら?
心配せずともちゃぼのことはいつまで経っても愛してるよ。

うちに来てくれてありがとうね。
そばにいてくれてありがとうね。
ゆっくりおやすみー。

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