| クライアント:asobuco様(Instagram)
| 担当業務:パッケージデザイン、ポストカードデザイン、台紙デザイン、ロゴデータ制作
アクセサリー作家のasobuco様からのご依頼で、新たに始動されたブランド『PRAY』に関わるデザイン全般のお手伝いをさせていただきました。
2022年12月2日(金)〜5日(月)にFREAK’S STORE 名古屋パルコ店で行われるPOPUPで初お披露目となる『PRAY』
今まで活動を続けてきたasobucoブランドのB面と位置付けられたPRAYでどのような魅せ方をしていくべきか、方向性の相談も含めて少しずつ進めていきました。
ブランドコンセプトは、
『matou OMAMORI(纏うオマモリ)』
まず最初に進めたのはブランドの顔にもなるロゴの準備です。
こちらは作家様の三男坊くんの手書き文字をデータ化しました。作家活動を始めたのがこちらの三男坊くんがまだお腹の中にいた時だったとのこと。アクセサリー制作の傍らで見守り続けてきた彼の成長の証でもある文字を受け取り、その筆跡や纏う空気感を大事にしながら、ロゴデータを制作しました。
こういった手書きの文字はデータ化した途端に味気ないものになってしまうことも多いため細心の注意を払いつつ、様々な印刷データとして使用していくことも考慮しながら微調整をし完成させました。
次にアクセサリーを納めるためのパッケージデザインを検討していきました。
少し特別感のあるもの、店頭にディスプレイした時にも映えるものがご希望でしたので、ご予算も考えながら紙製の箱で進めることに。手に取った時のボリュームまで味わってもらうために、高さのあるサイズで特注製作した箱は、外側も内側も全て真っ黒に。その天面に光沢のあるシルバー箔押しのロゴを施し、中に納めるアクセサリーがより一層引き立つように仕上げていきました。
アクセサリーの大きさに合わせて2種類のサイズを用意し、開けやすいフタの高さ、ホチキスの色や止める場所などまで、作家様のこだわりがたくさん詰め込まれています。
続いては台紙のデザインです。
『高級感や特別感のあるアクセサリーにしたい』とのご要望をいただいたので、ハイジュエリーのパッケージのように台紙を使わないという案も出ましたが、箱の中での安定性を考慮し、出来る限り目立たないサイズ、色の台紙を制作することになりました。
アクセサリーを取り付ける表面は文字要素の全くない漆黒のデザイン、裏面にはロゴと共に取扱いの際の注意書きを記載。紙質はクールな印象となるように、サラサラとしたマットな質感の用紙を選定しました。
最後に悩みに悩んだポストカードのデザイン。
何度も話し合いを重ね、様々な案が出ましたが、こちらもコンセプトである『matou OMAMORI』の要素を盛り込んだデザインとすることにしました。
ポストカードの表面には作家様の次男坊くんが描いた版画をそのまま用いています。インクの載り方や刷った時に少し斜めになった角度に至るまで、彼の感性をそのまま活かしながら、手触りやぬくもりを纏うようにレイアウトしました。
裏面中央には版画ともリンクしたクロスモチーフと、赤色に染めたロゴを配置。この『赤』という色は、今回のアクセサリーの差し色として作家様が選んだ色です。古くから壁画や遺跡の装飾にも使われていたのがこの赤という色で、当時から『魔除け』や『再生』の色と考えられ用いられていたそうです。
四隅に配置した文字たちは全て諺を英語表記したもので、こちらは長男くんにまつわるモチーフです。敢えて視認性の低い装飾的な書体で暗号のように構成し、『わかる人、わかろうとする人にだけ伝えたい』といった作家様の心情を表現。こちらの面は表面とは印象を変えて少しカチッとした縦型のデザインで検討し、凛とした中にあるやさしさを表現できるように仕上げていきました。
ブランドコンセプトである『matou OMAMORI(纏うオマモリ)』には、作家様自身の内に秘めた『深い愛情』がそこかしこに込められているなぁ…と、話を進めていく中で感じました。その愛情には、女性としての愛、母としての愛、妻としての愛、友人としての愛、娘としての愛、この世界に生きる生物の1つとしての愛などなど…これまでの人生の中で彼女が受け取って来た喜び、哀しみ、怒りなどの様々な感情を練り上げて到達した、作家様なりのやさしさであると思っています。
時には耳元で励ますように、時には傍らでポンッと背中を支えてあげるように、身に纏った人にほんの少しだけ、今を生きるチカラを分けていくような、そんな作品たちの魅力をさらに引き上げられるように、少しずつ丁寧にデザインを仕上げさせていただきました。
作家様の手で一つひとつ作り上げられるアクセサリーたち。
店頭などで見かけた際には、ぜひお手に取って五感で味わってみてください。