2024年7月31日(水)
今日は【髙田賢三 夢をかける】を観に、友人と東京オペラシティ アートギャラリーへ。
これまでの人生で訪れたことがあるような、そういえば初めてだったような…な曖昧な記憶のままオペラシティにお邪魔しました。ギャラリーへ向かうまでに通り抜ける中庭にいらっしゃった、歌を歌う巨人のオブジェが気になり調べてみたところ、『シンギングマン』という作品とのこと。1998年からこの場所で空を見つめながら歌を歌っている方らしいのですが、囁くような歌声で何を歌っているのかはよく聞き取れず。石造りの建造物に囲まれた場所のため、どことなく進撃の巨人の世界ってこういう感じなのかなと体感することが出来ました。
…と、だいぶ話が逸れましたが本題へ。
2020年に惜しまれつつ逝去した髙田賢三さんの没後初の大規模個展。実際にデザインされたお洋服の展示と共に、これまでのアイディアの源泉となった資料などの展示もされていました。
日本にいた頃には周りと同じように西洋のファッションに憧れていたという賢三さん。日本を離れたことで日本の良さに改めて気付き、日本の織物に用いられる花柄などを大胆に使ったファッションを提案したり、西洋式の立体裁断ではなく、敢えて日本らしい平面裁断を用いてデザインをされていたそう。
また、それまでのファッション界では、デザイナーが顧客のために完全オリジナルで衣装をデザインする『オートクチュール』がメインの時代でしたが、賢三さんは自由で着やすい、庶民のファッションである『プレタポルテ(本来は既製服という意味ですが、日本では“高級既製服”と訳されることが多いそう)』のトップランナーとして、それまではファッションとは縁のなかった人たちも巻き込みながら様々な服のデザインをされていたようです。
この話を聞いて、私が普段関わっているデザインの仕事はオートクチュールに近く、最近はじめた活動はプレタポルテに近いのかなと感じました。どちらもそれぞれに面白さと難しさが両立するものですが、プレタポルテ的な考え方がまだあまり馴染んでいない私にとって、とても興味深い展示でした。
体のサイズに縛られてしまうような手法を用いていないことや、重ねたりミックスしたりしながら、いかようにもアレンジのしやすいデザインの提案が多いことなど、着る人次第で無限に広がるコーディネートが可能なことがとても印象的。こういったファッションコーディネートの仕方は、日本の着物を着る時の合わせ方にも通じるものを感じました。
私は普段はモノクロな服を着ることが圧倒的に多いですが、賢三さんのデザインする華やかな柄や色のデザインを『なんだか良いなぁ』と違和感なく受け留められるのも、同じ日本の地で生まれたからこそ持ち合わせている感覚なのかもなぁとも思いました。恐れ多いということも重々承知してますが。
写真を撮り忘れてしまったのですが、賢三さんのデザイン画の展示もありました。会場の通路の壁を活用してズラーッと並べて掲示されていたのですが、どれも均一に画用紙から頭と足の先が飛び出る形で描かれているのがとても興味深かったです。既成の枠に囚われ過ぎない、大胆で自由な方だったのかなと、このデザイン画の描き方から想像するのも楽しい時間でした。

