精神疾患をもつ人を、病院ではない所で支援するときにまず読む本 ”横綱級”困難ケースにしないための技と型

精神疾患をもつ人を、病院ではない所で支援するときにまず読む本 ”横綱級”困難ケースにしないための技と型

こんにちは、空間デザイナーのナカザワフミです。

今日は先日読んだ小瀬古 伸幸さんの著書『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本 “横綱級”困難ケースにしないための技と型』の感想文です。

“横綱級”とは、精神疾患の重症度ではなく、対人関係的な困難さを感じさせる利用者のこと。こうした人たちへの対応の技をもっていないと、次第に利用者に対して怒りや恐怖、嫌悪感を抱いたり、あるいは支援者が何をしているのかわからなくなりコントロール不能な感覚に陥る。

本書では、独立型訪問看護ステーションで困難事例とがっぷり四つに組んで支援してきたからこそ体得したさまざまな具体的な技と型を通して、「パターンで見る」ことの大切さを伝授する。在宅支援に入る際に必ず知っておくべきイロハのイ。はじめて精神科ケアに足を踏み入れる人、特に地域で実践しようとする人の必読本!

医学書院 より

何となく、人と関わると疲れを感じる人は読むと気持ちが楽になるかも

読み進めてみると、他者とのコミュニケーションの取り方が実践パターンと共に丁寧に書かれていました。
タイトルに“精神疾患”っているので、『自分には関係の無い話か』と捉える場合も多いかもしれないけれど、『身近に相性が合わないと感じる人がいる』時や、『何だかわからないけれど他者との関わりで疲れやすい』と感じる時など、その相手の病気の有無に関係なく、日常的なコミュニケーションの場面でも活かせること、すぐに試すことが出来そうな内容が多くまとめられているなぁと感じました。

相手も自分も主体性を持てるように

本書の中で『自分のその行動で、他者の主体性を奪っていないか』ということが繰り返し伝えられていたように思いました。

『主体性』とは、自分自身で決めることと共に、その決めたことに対して責任を負うことも含まれています。
これは目の前の他者にも必要なもの、自分にとっても必要なもので、お互いにいきいきと自分らしく過ごせるようになるためにも、とても重要な要素だと感じます。

自分の負える責任の範囲を越えてまで他者と関わることは依存であると私は思います。パッと見は他者への優しさのようにも見えるけれど、自分自身の不安や寂しさの感情を、他者をコントロールすることで埋めている状態なので、お互いに窮屈になるのは当たり前なわけで。

血の繋がりがあろうが無かろうが自分以外は全て他人で、好きなことも嫌いなことも、得意も不得意もそれぞれ異なります。
思い通りにならないことに憤ることもたくさんあるけれど、その憤りの原因となる種を撒いてるのは、他でも無い自分の場合もあることを、改めて自覚しておくことも大事だよなぁと感じました。

何か起こってからの対処が続くと疲れが増すばかりなので、そもそもそれが起こらないような方法での関わり方を、自分自身でも学んでいけたらと思いました。

お互いに穏やかな気持ちでいられる距離感を

現在のシステムの世の中で生きている以上、他人との関わりを限りなく少なくすることは出来ても、完全にゼロにすることは不可能なことだと思います。

迷惑を掛けたくないから誰とも関わらないという極端な行動を取る前に、自分側で調整できそうな部分は無いのかを、小さなことからでも探して見つけて実践もしていくことが出来たら、本当の意味での優しい人に近付けるのかもなぁとも感じました。

先に記載したことの繰り返しになりますが、何でも代わりにしてあげることだけが、本当の優しさではないと私は思います。自分が自然と取ってしまう行動の中にも、未来のことを複雑にしてしまう種が隠れていることもあるんだってことを忘れないように、人と人との関わりを、これからも楽しんでいけたらなと思いました。

また、誰かの手助けをしている人自身も、他の誰かからの手助けに支えられている人だとも思います。その事実も忘れないように、心地よさが循環していくようにしていきたいです。

精神疾患をもつ人を,病院でない所で支援するときにまず読む本 “横綱級”困難ケースにしないための技と型 著者:小瀬古 伸幸

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