日本人は影が嫌い

日本人は影が嫌い

こんにちは、空間デザイナーのナカザワフミです。
前々から『照明』についてもっと知りたいとは思っていたものの、なかなか動き出せずにいましたが、重い腰をようやく上げて先日から照明のスクールに通い始めました。

その初めての授業が行われ、まずは基本的な照明の種類や明るさに関する単位、歴史などの話からスタートしたのですが、初日の授業で1番気になったのは『日本人は影が嫌い』だという話。

ミュージカルなどの欧米がルーツの舞台では色や陰影のある照明演出をしますが、日本の古典芸能である歌舞伎や能などでは色なしの光を基調とした照明が特徴。
自然光とろうそくで舞台を照らしていた時代の柔らかい光を理想とし、現在でもくっきりとした強い影が出ないように光をつくっているそうで、この色なしの光だけで色や温度、気配、風情を感じるように照らせることが一人前の証であるとのことです。

能楽堂の照明
ミュージカルの照明

また舞台だけでなく、絵の世界を見ても欧米で主流の油絵と日本画とでは描き方に随分と差があります。
油絵は陰影で形を描きコントラストの高いものが多いですが、一方の日本画では影の表現はせず、線で境界線をつけ、コントラストの低いフラットな印象の絵が多くあります。

喜多川歌麿の浮世絵

レンブラントの『夜警』

私個人的には『影があるからこそ光が映えるんでしょうに』と光よりも影に肩入れしがちですが、仕事で提出する3Dのイメージ図でも「ここの影なくしてくださーい!」という修正指示がとても多く、日本人の影嫌いをほんのりと実感してます。

このように影のない表現を好む傾向のある日本では、天井に取り付けて部屋全体を均一に明るくすることが出来る『シーリングライト』を好んで自宅に取り付けることが多いそう。(好き嫌いの話はまた別ですが…)

日本人の影嫌いの理由について先生に伺ってみたのですが『そういう美意識』との回答をいただき、今の時点ではあまりハッキリとしたことはわからず笑。
けれども気になる話だったので、何かのきっかけでこの謎が解けそうになったらまたこの続きを考えてみようと思います。

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